簿記検定

【商業簿記】税効果会計の差異が再振替で消える、その他有価証券評価差額金は税効果会計の対象

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お疲れ様です。
簿記の学習は進んでいますか^^

私が経験した商業簿記のプチ疑問の第5弾を紹介したいと思います^^

今回の題目は次のようになります。

  • 税効果会計の差異が解消した時、なぜ前期で行った仕訳の再振り替え的なことが行えるのか?
  • その他有価証券評価差額金の評価替えは損益に関係ないのになぜ税効果会計が必要なのか?

本題に入る前に税効果会計についてすでに理解されている方も多いでしょうが、簡単にふれたいと思います。

税効果会計は特別なことではなく、通常の経理業務の中で普通に必要になります。

背景には会計上のルールと税法上のルールが一致していないことがあります。
例えば、
減価償却費について帳簿(会計上)では1万円で計上しているけど、実際の税金の計算(税法上のルール)では8,000円までしか認められない(損金不算入)。
ただ、ここまでならそれと税効果会計なにが関係あるの?という方も中にはいらっしゃるかもしれません^^

ポイントは
会計上のルールで作成された損益計算書の税金欄に税法上のルールで求めた金額が表示されるということ。
会計上の税金は税引き前当期純利益から求めるわけですが、その金額が税法上のルールで求めた金額と通常は一致しない、ズレが生まれることが普通です(会社の規模にもよります)。
さらにこのズレは解消しないとまずいので、このズレを解消するために行うのが、税効果会計という処理になります。

より具体的に税効果会計でどういうことを行うことかといいますと、税法上のルールで求めた税金に法人税等調整額という費用勘定を加減することで、会計上の税引き前当期純利益から求めた税金の額と一致するようにします。

実際に支払う税金は税法上のルールで求めたものですが、損益計算書上の税引き後の当期純利益はあくまで損益計算書上の税引き前当期純利益の税金を引いて求める形をとるのです。

税効果会計は実際に支払う税金の金額に調整額を加減することで、損益計算書上の当期純利益はあくまで会計上の税金から求めたものを表示するための処理
ともいえるでしょう。

なんとなく、税効果会計についてイメージしていただけたでしょうか。

では、私が経験したプチ疑問について紹介していきますね。

税効果会計の差異が解消した時、なぜ前期で行った仕訳の再振替的なことが行えるのか?

【ギモンに思った点】

【商業簿記】プチ疑問解説(第4弾)決算限定!損益勘定の役割とは?
でもふれていますが、費用・収益勘定は資産・負債・純資産勘定のように次期に繰り越しません。
ですが!
会計上と税法上の法人税の差異が発生した時、税効果会計を法人税等調整額という費用勘定で仕訳しますが、差異が解消されたからといっても期をまたいで差異発生時の費用勘定を含む再振り替え的なことが行われる。

例えば、
備品の減価償却費を計上したが、そのうち、500円分が税法上では経費として認められなかった。
税法上の言い方をすれば、500円分、損金が不算入となった。
この結果、実際の法人税は法人税率が40%だったとすると、税法上のほうが会計上よりも200円少なくなるので、会計上の法人税とのズレを調整するため、次のような仕訳処理を行っていた。

借方科目 金  額 貸方科目 金  額
繰延税金資産 200 法人税等調整額 200

そして次期に、
税効果会計を行った備品を売却することになったので、前期の損金不算入分の500円分を取り消す目的で、前期と逆の仕訳を行った。

借方科目 金  額 貸方科目 金  額
法人税等調整額 200 繰延税金資産 200

前期と逆の仕訳?!、
法人税等調整額は費用だよ。
期中ならまだしも、前期で法人税等調整額は決裁済なのに、どうして逆仕訳ができるの?

解答です^^

まず、差異が解消した時に行った仕訳は見た目的には再振り替え
(例えば売上割戻しや建物完成時の建設仮勘定の振り替え)
と同じようにみえるものの、実際は違います。
すなわち
差異発生時に行った税効果会計時の仕訳と差異解消時に行った税効果会計を取り消す処理は振り替え処理ではなく、独立した仕訳です。

では、なぜ、再振り替え処理のように見えるかというと、差異の原因となった損金が同じなためです。
同じなので、法人税等調整額も同じになります。

損金×法人税率=法人税等調整額

また相手勘定科目の繰延税金資産は取り消し対象の備品に紐づいた勘定なので、必然的に相手勘定科目の繰延税金資産の金額も損金にかかる税額と同じになるというわけです。

このように差異発生時の仕訳と差異解消時の仕訳はみためは再振り替えのようにみえても、実は互いに全く独立したものということがご理解いただけるのではと思います。

その他有価証券評価差額金の評価替えは損益に関係ないのになぜ税効果会計が必要なのか?

【ギモンに思った点】

税効果会計の調整対象の法人税は税法上のルールでは課税所得(損益)にかけられる税金です。
会計上のルールでいえば費用・収益勘定の差額である税引き前当期純利益にかけられる税金です。

しかし、決算に行われるその他有価証券評価差額金の評価替えの仕訳では費用・収益勘定が含まれないにもかかわらず、税効果会計が必要なのです。
背景には、
税法上では、その他有価証券の評価替えが認められていない
ということもありますが、まずは実際の仕訳例をみてみましょう^^;

【評価損になった時の評価替えの仕訳例】

借方科目 金  額 貸方科目 金  額
その他有価証券評価差額金 2,000 その他有価証券 2,000

その他有価証券は資産勘定、その他有価証券評価差額金は純資産勘定で法人税に関係する費用勘定でも収益勘定でもありません。
しかし、税効果会計は次のように仕訳されることになっています。

【上記に対する税効果会計の仕訳例】
※法人税率は40%とします。

借方科目 金  額 貸方科目 金  額
繰延税金資産 800 その他有価証券評価差額金 800

その他有価証券評価差額金を繰延税金資産に振り替える。
なるほど。。。
しかし、資産(その他有価証券)に法人税率をかけて法人税を求める話など聞いたことがありません(笑)
また、
当期の損益計算書の法人税になんら影響しないのになぜ必要なのでしょうか。

解答です^^

ここで問題です。
税効果会計の目的とはなんでしょう?
まわりくどいようですみません^^;
ほとんどの方は、次のような感じで答えられると思います。

税効果会計とは会計上の税引き前の当期純利益と課税基準が異なる法人税等のずれを調整すること

正解です。
ただ、もうひとつあります。
あげられたら、それが、本ギモンの正解です。

「税効果会計とは将来の税金の支払いが軽くなるのか、重くなるのかを専用の勘定科目を介して貸借対照表上に記録するすること。」

この将来のというところがポイントです。
あと専用の勘定科目もポイントです。
専用の勘定科目についてみてみます。

【貸借対照表の税効果会計専用の勘定科目】

  • 繰延税金資産
    【これが計上された時、意味すること】
    会計上の法人税のほうが税法上の法人税よりも大きい。
    →法人税の前払い(軽減効果)のような状況になったことを意味します。
  • 繰延税金負債
    【これが計上された時、意味すること】
    税法上の法人税のほうが会計上の法人税よりも大きい。
    →法人税の未払い(増加効果)のような状況になったことを意味します。

と理解できたところで、
「その他有価証券評価差額金の評価替えは損益に関係ないのになぜ税効果会計が必要なのか?」
の解答です。

その他有価証券評価差額金の評価替えによって
将来、売却時の売却益(収益!)にかかる税金が軽くなるのか、重くなるのかを貸借対照表上で把握するために税効果会計が必要(繰延税金資産/繰延税金負債の計上が必要)なため

でした。

最後に

私が経験した商業簿記のプチ疑問として今回は税効果会計を取り上げてみました。

今回感じたのは、税効果会計の理解のためには受験テキスト的な説明をただ読んで理解するだけでは十分ではないということです。
より踏み込んで、読み解く必要があると。
例えば、

損金不算入 or 損金算入×法人税率=法人税等調整額

あわせて、受験テキストに書かれていないことも多い税効果会計の本来の目的も理解する必要があります。

経験豊富な経理担当者さんや会計士さんや学者さんなどにとっては当たり前のことなのかもしれませんが、
「税効果会計は将来の税金の支払いの軽減効果、増加効果を貸借対照表上で理解できるようにすること。」

税効果会計について、その他のギモンが出た場合は、上の2点からアプローチしてみると案外、簡単に糸口が見つかるかもしれませんよ^^

また気づいたことがありましたら、プチ疑問について紹介していきたいと思っております。

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