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【工業簿記】原価計算方法の種類についてわサクッと整理

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こんにちは。

工業簿記を勉強したての頃、学習書を読みすすめるにつれて、こうもこりなく末尾に「原価計算」とつく用語がたくさん出てきて、「どう理解すればいいのー、泣きたくなる...(T∇T)」というような気持ちになったことはありませんか(笑)

勉強したての頃は個別原価計算なの、実際原価計算なの、直接原価計算なの、もう頭の中はパニック状態(T∇T)という気持ちをもった方も少なくないでしょう。私もその一人でした。しかし、今振り返ると、その原因はシンプルに工業簿記の全体像が全く見えていなかったためだったと実感しています。工業簿記の内容は時代による変化がない分、商業簿記と比較してもより理路整然としていると思っています。

ということで今回は、末尾に「原価計算」とつく用語をまとめて整理してみます。
「そんなの必要ないよ」という工業簿記についてすでによく理解されている方は本記事は読み飛ばしてください、少し時間を持て余していれば、お付き合いいただければと思います。

工業簿記の原価計算方法をサクッと整理

原価計算の観点の違いから生まれた「原価計算」を末尾に冠する用語には次の6種類があります。

注意したいのは各々、独立して利用するのではなく、実際はいくつか組み合わせて、製造原価を計算していくということです。

そのため、『***原価計算』は実際に使われている原価計算の流れを理解するためにこれ以上、細かく分けることができないといったものといえます。

では、こうして生まれた6つの『***原価計算』について3つの種類にわけてみていきましょう。(2種類1セットの『***原価計算』が3セットあります。)

  • ①製造原価を実費で計算するか目標値で計算するかで分類したもの
    • ①-1 実際原価計算
      実際にかかった費用(実際原価)から製品の原価を求める考え方
    • ①-2 標準原価計算
      目標とする費用(標準原価)から製品の原価を求める考え方
      標準原価計算ではさらに実際にかかった費用(実際原価)にかった原価との差額を分析しコストダウンの計画を可能にする。
  • ②製造原価をオーダーメイド方式で計算するか大量生産方式で計算するかで分類したもの
    • ②-1 個別原価計算
      オーダーメイドの生産形態を想定して原価計算を行う考え方
    • ②-2 総合原価計算
      同じ規格の製品を毎月大量に生産する形態を想定して原価計算を行う考え方
  • ③製造原価を建物などの固定費を含めないで計算するか含めて計算するかで分類したもの
    • ③-1 全部原価計算
      変動費、固定費(建物、設備などの減価償却費)すべてひっくるめて原価計算を行う考え方
    • ③-2 直接原価計算
      固定費(建物、設備などの減価償却費)を含まず変動費のみで原価計算を行う考え方

おおよそ、このようなイメージで2種類1セットの『***原価計算』の形で存在します。
次ではもう少し、掘り下げて各原価計算方法についてみていきたいと思います。
ただ、本記事では各々の原価計算方法の意味を深く理解するよりも、2種類1セットの『***原価計算』が3セットあるというイメージをもっていただくことを最優先課題としています。(いいかえれば上のイメージを忘れてしまうと、原価計算の問題が試験に出たとき、よほど運がよくない限り、頭の中の原価計算に関する知識が瓦解してしまって問題が解けない状態だと思いますので。。。)
それでは上のイメージの理解を深めるために各原価計算の中身についてみていきましょう。

工業簿記の各原価計算方法の補足

①実際原価計算と標準原価計算の違い

実際原価計算と標準原価計算を理解するには両者の違いをみていくことが効率的たと思うので、その違いをみていきましょう。
まず実際原価計算では「製品を製造するのに実際にかかったコスト」で製造原価を計算します。
たいして標準原価計算では「これまでの実績と経験などから製品を製造するのにかかるコストの目標値」で製造原価を計算します。

この違いがあるために実際原価計算と標準原価計算の違いについて次のことがいえます。

  • 原価計算の過程で実際原価計算はコストの無駄を把握できず、標準原価計算はコストの無駄を分析、把握することができる。(正確には両原価計算とも製造活動の区切り区切りでコストに無駄がなかったから分析するものですが、標準原価計算ではより明確にその方法を定義したものといえます。)

なお、標準原価計算でコストの無駄を分析するために目標とする費用(標準原価)と実際にかかった費用(実際原価)の差額を求めますがこれは原価差異といわれます。そして原価差異の要因をテクニカルな方法を使って導き出していきます。そのテクニカルな方法については別記事の作業効率を把握するための標準原価差異分析についてできるだけ簡潔に理解・確認する方法に詳しく紹介していますので、ご覧になってください。

②個別原価計算と総合原価計算の違い

個別原価計算と総合原価計算を理解するには引き続き両者の違いをみていくことが効率的たと思うので、その違いをみていきましょう。

まずまず個別原価計算は「オーダーメイドの製品を受注してその製造にかかったコスト」の製造原価を計算します。例えば、オーダーメイドの製品として思い浮かぶものとしては特注のスーツ、革靴、家具などがあります。
対して総合原価計算で「同じ種類の製品を大量に製造するときにかかったコスト」の製造原価を計算します。例えば、ファストファッションはサイズ、色などを変えながら大量生産することで価格を抑えています。一般の自動車などの乗り物なども総合原価計算の対象になります。
この違いがあるために個別原価計算と総合原価計算の違いについて次のことがいえます。

  • 1個あたりの製造原価を計算するとき、個別原価計算では特定の製品ごとに計算するのに対して、総合原価計算では製品を特定せず平均値を計算する。

③全部原価計算と直接原価計算の違い

全部原価計算と直接原価計算を理解するには引き続き両者の違いをみていくことが効率的たと思うので、その違いをみていきましょう。
まず全部原価計算では「製品の製造にかかったコストをすべてひっくるめて」で製造原価を計算します。
たいして直接原価計算で「変動費と固定費を区別して変動費のみのコスト」で製造原価を計算します。
変動費とは作った数、販売した数に比例して増えていくような費用で例えば材料費、労務費などがあります。対して固定費は作った数、販売した数に関係なく、発生する費用で、例えば建物や工場設備などの減価償却費などがあります。
この違いがあるために全部原価計算と直接原価計算の違いについて次のことがいえます。

  • 全部原価計算では製品を一つも作っていないのに製造原価(建物や工場設備などの減価償却費)が発生し、逆に直接原価計算では製造原価は発生しない。このことによって、"本当の意味"での製品の製造原価を求めるには全部原価計算よりも直接原価計算のほうが向いている。とよく言われます。

最後に直接原価計算で製造原価に含まれない固定費の扱いは?と気になったかもしれません。損益計算書(費用と収益による企業の経営活動の通信簿のようなもの)上では直接原価計算の固定費は売上原価(製造原価)に含まれず、販売費の固定費と同じ扱いで営業利益を求めるときに使用されます。逆に全部原価計算ではは損益計算書上の売上原価(製造原価)に含まれて処理されます。

工業簿記の原価計算方法は全部で6つ

実際原価計算と標準原価計算、個別原価計算と総合原価計算、全部原価計算と直接原価計算の6つについてまとめて整理してみました。

試験中に「なお、本問はxxx原価計算で計算する」という条件がついても上の2種類1セットの『***原価計算』が3セットあるということをイメージできていれば、完全に迷ってしまうことはないのではと思っています。

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