お疲れ様です。
簿記の学習は進んでいますか^^
前回の私が経験した商業簿記のプチ疑問の第1弾に続き、第2弾を紹介したいと思います^^
今回の題目は次のようになります。
- 期中固定資産売却時の減価償却累計額はなぜ不要?
- 月割り計算か日割り計算の判断方法
- 減価償却の直接法か間接法の判断方法
期中固定資産売却時の減価償却累計額はなぜ不要?
減価償却は、決算時に行うことが基本ですよね。
しかし、当期中に行う場合もあります。
固定資産を売却した時。
決算前ですが、売却時に減価償却を行う必要があります。
今回、なぜ、期中の減価償却に注目するかといいますと、間接法で仕訳を行った時の減価償却累計額の仕訳方法が期中と決算時で異なるためです。
なぜ異なるのかギモンに感じる方もいらっしゃるのではないかと思っています。
では、本題に移っていきます。
決算時の間接法による減価償却の仕訳は次のようになりますよね。
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
減価償却費 | xxxx | 減価償却累計額 | xxxx |
そう、減価償却累計額が計上されています。
しかし、期中の減価償却時は減価償却累計額が計上されないのです。
実際に、期中の減価償却の仕訳問題をとおしてみてみましょう。
期中の固定資産売却時の減価償却の仕訳問題例
当期(4月1日~翌年3月31日)の7月31日に備品(取得原価 200,000円、減価償却累計額 150,000円)を売却し、代金 50,000円は、当座預金に振り込まれた。
なお、この備品の減価償却は償却率 30%の定率法とし、間接法で記帳することとする。
当期開始時から売却日までの減価償却費を月割りで計上する。
この時の仕訳を行いなさい。
解答です。
減価償却費をまず、求めます。
(200,000円-150,000円)×30%×4ヶ月/12ヶ月 = 5,000円
となりますよね。
そして、次に仕訳です。
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
減価償却費 | 5,000 | 備品 | 200,000 |
減価償却累計額 | 150,000 | 固定資産売却益 | 5,000 |
当座預金 | 50,000 |
お気づきでしょうか、
減価償却累計額が変わっていません。
不思議ですよね。
「間接法で減価償却したんだから、減価償却累計額は変わってないとおかしくない?誤記?勘弁してくれー」
いいえ、誤記でも、間違いでもありません。正しいです。
減価償却累計額が変わらない理由です。
期中の固定資産売却時の減価償却累計額が計上されない理由
減価償却累計額は、存在する固定資産の償却実績を記録するための勘定科目です。
そのため、売却によって存在しなくなる固定資産については、この記録が必要なくなるため。
しかし、これでは、納得できないという方もいるでしょう。
私もそうでした!
そこで、別の角度からみてみましょう。
実は、より細かく段階を分けて、売却時の仕訳を"簿記のルールを度外視"して行うと、皆さんが期待する減価償却累計額が暗黙的に、使われていたことが理解できます。
減価償却と売却に分けて仕訳してみます。
(通常の教科書では、このような仕訳は行いません^^;)
減価償却時の仕訳
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
減価償却費 | 5,000 | 減価償却累計額(売却時分) | 5,000 |
皆さんが期待する減価償却累計額(売却時分)が出てまいりました^^
次に売却の仕訳をみてみましょう。
売却の仕訳
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
減価償却累計額(売却前まで) | 150,000 | 備品 | 200,000 |
減価償却累計額(売却時分) | 5,000 | ○○○○ | △△△△ |
当座預金 | 50,000 |
先ほど、計上した減価償却累計額(売却時分)が借方にありますね。
そして、この2つの仕訳を一つにまとめると、
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
減価償却費 | 5,000 | 備品 | 200,000 |
減価償却累計額 | 155,000 | 減価償却累計額 | 5,000 |
当座預金 | 50,000 | 固定資産売却益 | 5,000 |
ギモンは晴れたのではないでしょうか^^
しかし、この仕訳は解答として正しくありません。
借方と貸方の両方に減価償却累計額が存在してしまっていて、簿記のルール違反になるからです^^;
月割り計算か日割り計算の判断方法
簿記の問題で期中で発生した取引きの仕訳を行う時、月割りまたは日割りで計算することが多いですよね。
ただ、ギモンに思ったことありませんか。
「問題文中に月割りまたは日割りの指示がなかった時、どちらで計算すればいいの?」
ということで、月割り、日割りの指示がなくても迷わないようにはっきりさせておきたいですよね。
月割り、日割りの判断方法
- 月割り、日割りの指示が問題文中にあれば従う。
- 端数利息(はすうりそく)の問題であれば、日割り
- 端数利息(はすうりそく)以外の問題であれば、月割り
端数利息の問題にはどのようなものがあるかといいますと、
『定期的に利息がもらえる有価証券(社債など)の期中の購入時に支払う売り主分の利息(端数利息)の計算
または期中の売却時に受け取る自分の持分の利息(端数利息)の計算』
があります。
そして、端数利息の問題で日割り計算を行う場合、やっかいなのが、月によって日数が異なることです。
ですが、有名な覚え方があります。
これは、31日以外の月を覚えるという方法です。
31日以外の月の覚え方
- 西向く侍(二・四・六・九・士)
"にしむくさむらい"と覚えます。
・に→2月
・し→4月
・む→6月
・く→9月
・さむらい→士→11月
↓
2月は28日、それ以外は30日と覚えます。
最後に端数利息(日割り計算)の問題を確認しておきましょう。
端数利息(日割り計算)の問題例当月7月2日に売買目的でA社社債(額面金額100,000円)を額面100円につき、96円で購入し、代金は端数利息とともに現金で支払った。
同債券の利息は年率7.3%であり、利払日は3月末日である。
この仕訳を行いなさい。
解答です。
まず、売り主(元の持ち主)の持分の利息(端数利息)を計算します。
前回の利払い日から購入日までの利息が売り主の持分になります。
西向く侍(にしむくさむらい)より(笑)
4月(30日)、5月(31日)、6月(30日)、7月(2日)
で計93日。
よって端数利息は
100,000円×7.3%×93日/365日 = 1,860円
となり、仕訳は次のようになります。
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
売買目的有価証券 | 96,000 | 現金 | 97,860 |
有価証券利息 | 1,860 |
少し、この問題について補足です。
有価証券利息は収益勘定なのに借方にありますが、これは、次回、利払い日において年間満額の受取利息から売り主分が相殺される(減じる)ことを意味しています。
ここも少し、ギモンに思われた方もいるのではないかと思い触れました^^
減価償却の直接法か間接法の判断方法
「間接法ではなく、直接法で減価償却しなさい」
このように、いつも問題中で指示してくれれば、問題ないのですが、場合によって方法の指定がないまま、いきなり減価償却しなさいという場合もあります。
この場合、実は基本的に間接法ではなく直接法です。
間接法で減価償却可能な資産は直接法でも可能なので、問題文中に指示があります。
改めて方法の指定がないということは、直接法での減価償却しか認めれていない資産ということです。
にもかかわらず、人によっては間違って、直接法が暗に示されているのに間接法で記帳してしまうことがあるかもしれないでしょう。
例えばですが、
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
ソフトウェア償却 | xxxx | ソフトウェア償却累計額 (正しくは、ソフトウェアです!) |
xxxx |
そこで、このような間違いを減らすためにあらかじめ、償却方法が直接法限定の資産勘定について頭にいれておくことが効果的でしょう。
減価償却方法が直接法限定の資産勘定
- 無形固定資産
- ソフトウェア
- のれん
ブランド力などのことです。 - 特許権、商標権など
- 有形固定資産
- なし
無形固定資産が直接法のみになった背景に関連して補足です。
有形固定資産(建物、車両運搬具、備品など)は直接法でも間接法でも可能です。
有形固定資産で直接法が用いられるのは、規模が比較的、小さい個人企業などで用いられることが多いようです。
有形固定資産で間接法の減価償却が必要になる背景には将来的に設備を新しく更新するために、その規模を減価償却累計額を通して株主にわかってもらう役割などがあると思っています。
一方、無形固定資産は規模を示す必要がないので直接法だけで十分というのが背景にあったのではないかと推測します。
最後に直接法限定の無形固定資産の減価償却時の仕訳例をみておきましょう。
ソフトウェアの減価償却
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
ソフトウェア償却 | 10,000 | ソフトウェア | 10,000 |
のれんの減価償却
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
のれん償却 | 10,000 | のれん | 10,000 |
特許権の減価償却
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
特許権償却 | 10,000 | 特許権 | 10,000 |
無形固定資産の償却時の借方の勘定科目は○○○償却になりますね。
最後に
私が経験した商業簿記のプチ疑問についてみてきましたが、簿記は勘定科目以外に割り切って覚えなけらばならないルールが多いですね。
今回の場合、次のようなルールがありましたね。
- 期中の固定資産売却時の減価償却累計額の計上は不要
- 端数利息は日割り計算、それ以外は基本的に月割り計算
- 無形固定資産の減価償却は直接法のみ(間接法はなし)
次回も、同様にプチ疑問について紹介したいと思っております。
それでは。