お疲れ様です。
簿記の学習は進んでいますか^^
私が経験した商業簿記のプチ疑問の第7弾を紹介したいと思います^^
今回の題目は次のようになります。
- 非支配株主に帰属する当期純利益の非支配株主持分当期変動額への振り替えの理解の仕方
- 連結修正仕訳用の勘定科目と連結財務諸表の関係
- 連結決算時の個別決算の利益剰余金の扱い方
それでは、まいりましょう。
非支配株主に帰属する当期純利益の非支配株主持分当期変動額への振り替えの理解の仕方
連結決算時の連結修正仕訳で次のような仕訳をみかけますよね。
子会社の当期純損益の振り替えです。
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
非支配株主に帰属する当期純利益 | 〇〇〇 | 非支配株主持分当期変動額 | 〇〇〇 |
しかし、この振り替えを初めてみた時、すぐに内容がイメージできた方は少ないのではないでしょうか。
振り替えで思い浮かぶイメージといえば、「ある勘定科目から別の勘定科目に移し替える」ですよね。
この考えでいくと、上の仕訳の意味は『非支配株主に帰属する当期純利益』から『非支配株主持分当期変動額』へ入れ替える。
『非支配株主持分『は連結決算用の純資産の勘定科目として、まだなんとか理解できるにしても『非支配株主に帰属する当期純利益』は、通常の個別決算(会社単独の決算)からも想像しにくい勘定科目名ですよね。
実は次のように読み替えるとイメージしやすいです。
『非支配株主に帰属する当期純利益』→『非支配株主に帰属する損益』
個別決算時の当期純利益の繰越利益剰余金への振り替えとていませんか。
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
損益 | 〇〇〇 | 繰越利益剰余金 | 〇〇〇 |
損益勘定(費用・収益)の借方から繰越利益剰余金勘定(純資産)の貸方へ移し替える。
では、改めて、先ほどの仕訳をみてみましょう。
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
非支配株主に帰属する当期純利益 | 〇〇〇 | 非支配株主持分当期変動額 | 〇〇〇 |
『非支配株主に帰属する当期純利益』→『非支配株主に帰属する損益』
と読み替えれば、個別決算時の当期純利益の繰越利益剰余金への振り替えと同じ考え方なんですね。
ネーミングに配慮が欲しかったですよね^^
『非支配株主に帰属する当期純利益』ではなくて、『非支配株主に帰属する損益』してくれていたら、今でも、間をおくと、迷います^^;
連結修正仕訳用の勘定科目と連結財務諸表の関係
連結決算時の連結修正仕訳の時だけ使用する勘定科目はその特徴的なネーミング(笑)のおかげで、連結の財務諸表にどのように表示されるのか、なかなかイメージしにくかった記憶はありませんか。
連結修正仕訳の名前が特徴的な勘定科目を振り返ってみましょう。
【投資と資本の相殺消去に関する連結修正仕訳】
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
資本金 | 8,000 | S社株式 | 8,000 |
利益剰余金 | 2,000 | 非支配株主持分 | 3,000 |
のれん | 1,000 |
【子会社の当期純損益の振り替えの仕訳】
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
非支配株主に帰属する当期純利益 | 1,000 | 非支配株主持分当期変動額 | 1,000 |
【子会社の配当金の修正の仕訳】
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
受取配当金 | 700 | 剰余金の配当 | 1,000 |
非支配株主持分当期変動額 | 300 |
【投資と資本の相殺消去に関する開始仕訳】
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
資本金当期首残高 | 4,000 | S社株式 | 8,000 |
...(割愛)... | ...(割愛)... | ...(割愛)... | ...(割愛)... |
【前期以前の連結修正仕訳ののれん償却分の開始仕訳】
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
利益剰余金当期首残高 | 200 | のれん | 200 |
連結決算では特徴的なネーミングの勘定科目が登場しますね。
では本題の連結修正仕訳用の勘定科目と連結財務諸表の関係についてまとめてみましたのでみてみましょう。
- ①非支配株主に帰属する当期純利益
【勘定区分】
費用・収益
【連結財務諸表の表示場所】
損益計算書→株主資本等変動計算書 - ②親会社株主に帰属する当期純利益
これは連結修正仕訳帳には出てきません。
連結損益計算書でグループ全体の当期純利益から上の非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いて求められるものです。
【勘定区分】
費用・収益
【連結財務諸表の表示場所】
「非支配株主に帰属する当期純利益」と同じ - ③非支配株主持分当期変動額
【勘定区分】
純資産
【連結財務諸表の表示場所】
株主資本等変動計算書 - ④剰余金の配当
【勘定区分】
純資産
【連結財務諸表の表示場所】
株主資本等変動計算書 - ⑤利益剰余金当期首残高
【勘定区分】
純資産
【連結財務諸表の表示場所】
株主資本等変動計算書 - ⑥資本金当期首残高
【勘定区分】
純資産
【連結財務諸表の表示場所】
株主資本等変動計算書 - ⑦非支配株主持分
【勘定区分】
純資産
【連結財務諸表の表示場所】
株主資本等変動計算書
⑦+(①+③)→貸借対照表
⑤+(②+④)→貸借対照表
⑥+(株式発行などによる資本金当期変動額)→貸借対照表
まとめると、次のようにいうことができますね。
費用・収益系の勘定はまず最初に損益計算書、その次に株主資本等変動計算書へ表示
純資産系の勘定はまず最初に株主資本等変動計算書へ表示
こうして一旦、株主資本等変動計算書で集約された後、
この株主資本等変動計算書から貸借対照表へ展開、表示されていく。
実は個別決算の場合と流れは基本的に同じです。
※別記事を参考にしてみてください。
当期純利益でとおしてみた財務諸表の相関関係
連結決算時の個別決算の利益剰余金の扱い方

連結決算の貸借対照表を求めなさいという問題と一緒に、必ず提示されるのが、個別決算での貸借対照表です。
ここで、一瞬、利益剰余金に注意が向くことはありませんか。
ですが、連結決算の貸借対照表を求める上ではあまり意味がありません。
厳密には資本金、資本剰余金もなのですが、これらは、株式の新規発行、資本の振り替えなど大きな出来事がない限り、動きません。
その他の当座預金、売掛金、買掛金などの資産、負債は、単純に親会社と子会社を足し合わせることが可能です(連結修正仕訳分の足し引きは必要です)。
では、個別決算の利益剰余金が連結決算の貸借対照表を求める上ではなぜ意味がないのかみてみましょう。
理由は利益剰余金の求め方にあります。
利益剰余金 = 利益剰余金当期首残高 + (利益剰余金の当期変動額) + 当期純利益
これは、個別決算でも、同じですよね。
式のとおり、利益剰余金は当期純利益によって大きく変化します。
そして連結決算と個別決算の当期純利益は異なります。
このため連結決算の貸借対照表の利益剰余金を求めるために、個別決算の貸借対照表の利益剰余金は必要ない、注意しても意味がないということになります。
最後に
私が経験した商業簿記のプチ疑問として今回は
- 非支配株主に帰属する当期純利益の非支配株主持分当期変動額への振り替えの理解の仕方
- 連結修正仕訳用の勘定科目と連結財務諸表の関係
- 連結決算時の個別決算の利益剰余金の扱い方
についてみてきました。
連結決算が簿記2級の試験範囲に追加されてからまだ、数年しかたっていないというのに、毎回、主要問題として登場しています。
しかも、難易度は決して易しくなく、(どちらかといえば、難解の部類かも)、合否をわける分野になりつつあります^^;
本記事が連結決算問題のパスするきっかけになれば、幸いです。