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定年後、70歳なるまで働いた場合、年金額は再計算されて、いくらになる?

2019年5月13日

こんにちは。

年金の報道が流れるたびに心配になることが多いですよね。

70歳までもらえないかもしれない。
年金自体がもうもらえないかもしれない。

ちなみに2018年には国民年金の平均支給額は月々6万円弱

ずっと自営業やフリーランスだった方で貯蓄がない方は、とてもこの金額では暮らしていけませんよね。

実際、65歳になった後も働き続けるという方が多い。
そういった方の中には年金を少しでも増やしたいという理由で働く人も多いです。
年金の加入は65歳まででないの?と思っている方も多いですが、実は70歳になるまで厚生年金に加入することができます。
65歳から5年間、パートで厚生年金に加入しながら働けば、70歳からの年金支給額を増やすことができます。

そこで、今回、70歳なるまでパートで働いた場合、年金額はどれぐらい増えるのかというギモンについて取り上げてみることにしました。

本題に入っていく前に、はじめに年金制度の基本について確認します。

なお本記事は2019年5月7日時点の情報に基づいています。

70歳までパートで働くことも多い中の年金制度をわかりやすくポイント紹介

年金は基本的に基礎年金部分と厚生年金部分の2階建てです。
何度か耳にしたことがあるのではないでしょうか。
その基礎年金分と厚生年金分を足した合計額が将来、年金として受け取れる支給額になります。

基礎年金と厚生年金は次のようになっています。

基礎年金と厚生年金

  • 基礎年金
    国民だれもが入る必要があるもの
    保険料は全額自己負担
    定額部分とも呼ばれる
    原則60歳まで加入可能
  • 厚生年金
    会社勤めの人が入る必要があるもの
    保険料は会社と自分で半分づつ負担
    報酬比例部分とも呼ばれ、収入の大きさによって将来もらえる支給額が変わってくる
    70歳になるまで加入可能

自営業者やフリーランスの方は国民年金だけに加入することになるため、基礎年金だけになります。
ちなみに2階建てが基本なのですが、個人年金などに加入して"3階建て"、"4階建て"にする方も中にはいますが、一般的ではありません。

年金が受け取れる開始年齢は原則65歳からですが、生まれた年によって若干、異なってきます。
少し、ご紹介します。

年金の支給開始年齢の例外

  • 基礎年金
    • 早く生まれた人は65歳よりも前に開始年齢が早まる場合がある
    • 開始年齢を早める「繰上げ受給」、遅らせる「繰下げ受給
  • 厚生年金
    • 早く生まれた人は65歳よりも前に開始年齢が早まる場合がある

基礎年金の「早く生まれた人は65歳よりも前に開始年齢が早まる場合がある」について一部をご紹介します。
(一部抜粋)
・・・
男性:昭和 20年 4月 2日〜昭和 22年 4月 1日に生まれた方→63歳
女性:昭和 25年 4月 2日〜昭和 27年 4月 1日に生まれた方→63歳
・・・
男性:昭和 24年 4月 2日以後に生まれた方→65歳
女性:昭和 29年 4月 2日以後に生まれた方→65歳

基礎年金の開始年齢を早める「繰上げ受給」、遅らせる「繰下げ受給」については支給額が減ってもいいから早くもらいたい人は「繰上げ受給」、もらえるのが遅れてもいいから支給額を増やしたい人は「繰下げ受給」を選ぶことになります。

厚生年金の「早く生まれた人は65歳よりも前に開始年齢が早まる場合がある」について一部をご紹介します。
(一部抜粋)
・・・
男性:昭和 24年 4月 2日〜昭和 28年 4月 1日に生まれた方→60歳
女性:昭和 29年 4月 2日〜昭和 33年 4月 1日に生まれた方→60歳
・・・
男性:昭和 34 年 4 月2 日〜昭和 36年4月1日に生まれた方→64歳
女性:昭和 39 年 4 月2 日〜昭和 41年4月1日に生まれた方→64歳
・・・
男性:昭和 36年 4月 2日以後に生まれた方→65歳
女性:昭和 41年 4月 2日以後に生まれた方→65歳

このように昭和41年4月1日以前に生まれた方であれば、もしかしたら支給開始年齢が早まる条件に当てはまる可能性があります。
支給開始年齢になったら、案内がくるので、もらい損ねる心配はありませんが、関心がある方は最新の情報を日本年金機構のホームページで確認してみてください。

昭和41年 4月2日以後に生まれた方であれば迷うことはありません笑
昭和41年 4月2日以後に生まれた方であれば、男女問わず、基礎年金、厚生年金とも支給開始年齢は原則65歳です。

以上が年金制度のご紹介になります。
では、次に本題の65歳から70歳になるまで働いた時の年金がいつから、どれぐらい増えるのかみていきましょう。

70歳までパートで働いた場合、年金額はいくらプラスされるのか

65歳から70歳になるまで5年間、厚生年金に加入して働いた場合、年金はどれぐらい増えるものなのかみていきます。

ちなみに働いている間は65歳時点で確定した年金支給額が振り込まれます。
増えたと実感できるのは働くのをやめた時、または70歳になった時です。
増えた厚生年金部分が現在の支給額にプラスされます。

次に実際、どれぐらい支給額が増えるものなのかみていきます。
ここからは計算式が多くなってしまうので、だいたいの結果のみ関心がある方は「最後に」まで読み飛ばしていただいても問題ありません^^

70歳まで働いた場合の年金額の再計算方法をサクッと解説

年金支給額の求め方

年金支給額の計算式

年金支給額 = 基礎年金 + 厚生年金(報酬比例部分 + 経過的加算) + 加給年金

厚生年金の部分は報酬比例部分と経過的加算で分けられます。

報酬比例部分はその名のとおり働いた収入に応じて加算される年金です。
たくさん稼いだ人はこの部分が大きくなります。

経過的加算部分は旧厚生年金制度の定額部分と現在の基礎年金額の差額調整の意味合いを持ちます。
ざっくりといえば、過去の年金制度の変更によって損をしてしまう方が出ないようにするための調整分です。
こちらも働くことで変化するため、報酬比例部分とあわせて紹介していきます。

加給年金部分については本記事では割愛させていただきます。
理由は、加給年金は要件に該当する配偶者や子供がいる場合に加算されるもので、だれでも加算されるものではなく、ここでは、純粋にだれでも働くことによってどれだけ年金が増えるかどうかにポイントをあてておりますので、ご理解をお願いいたしますm(_ _)m

それでは、働くことで報酬比例部分及び経過的加算部分がどう変わっていくかみていきましょう。

報酬比例部分はどれだけ増える?

報酬比例部分は次の式で求められます。

報酬比例部分の計算式

報酬比例部分平均給料×一定乗率×加入期間

一定乗率は生年月日ごとに異なり、その表は日本厚生年金基金のホームページに公開されています。
ですが、昭和21年4月2日以降に生まれた人は覚えるのはそんなに難しくありません。
昭和21年4月2日以降に生まれた人の一定乗率は一律、7.125か5.481で同じです。

【昭和21年4月2日以降に生まれた人の一定乗率】
平成15年3月までの平均報酬月額に対しては7.125をかける。
平成15年4月以降の平均報酬月額に対しては5.481をかける。

あるモデルケースで報酬比例部分の増え方を計算してみます。

【あるモデルケースでの報酬比例部分の計算結果】

  • 【条件】
    • 働く時期
      平成15年4月以降に65歳の人が70歳まで5年間(60ヶ月)
    • 月々の平均給与
      (1)パートフルタイムで15万円
      (2)(参考)準正社員で25万円
  • 【計算式】
    報酬比例部分=給与額(15万円 or 25万円)÷1,000×5.481×厚生年金加入月数(60ヶ月)
  • 【計算結果】
    (1)パートフルタイムで15万円の場合
    年額49,329円のプラス ⇒月額 4,110円のプラス
    (2)(参考)準正社員で25万円の場合
    年額82,215円のプラス ⇒月額 6,851円のプラス

65歳から5年間、パートで頑張って70歳からもらえる月々の年金が4,000円増える、高いとみるか、厳しいとみるか^^

次に経過的加算部分について同様にみてみます。

経過的加算部分はどれだけ増える?

経過的加算部分は次に紹介する計算式で求められます。

ですが、正直、一般の人が理解するのは難しいです。
こういうよく考えられた計算式があるんだなぐらいの理解だけでいいのではないかと思っています^^;

ちなみに経過的加算部分は前でも少し触れましたが、過去の年金制度の変更によって損をしてしまう方が出ないようにするために東大出などのキャリア官僚が練り上げた計算式で求まる金額です。
よくこんな式が考えられますよね、感心します笑

経過的加算部分の計算式

経過的加算部分厚生年金の定額部分の金額(※1)−同じ期間に対応する基礎年金の金額(※2)
※1 定額部分の金額=1,625円×全厚生年金加入月数(上限480月)
※2 同じ期間に対応する基礎年金の金額=基礎年金の年額の満額×(20歳〜60歳厚生年金加入月数)÷480

あるモデルケースで経過的加算部分の増え方を計算してみます。

【あるモデルケースでの経過的加算部分の計算結果】

  • 【条件】
    • 働く時期
      平成15年4月以降に65歳の人が70歳まで5年間(60ヶ月)
    • 65歳よりも前に厚生年金に加入していた期間
      (1)5年間(60ヶ月)
      (2)一度も厚生年金に加入したことがない
  • 【計算式】
    経過的加算部分 = 厚生年金の定額部分の金額(※1)−同じ期間に対応する基礎年金の金額(※2)
    ※1 1,625円 × 65歳よりも前の厚生年金加入月数( 60ヶ月 or 0ヶ月 )
    ※2 基礎年金満額相当(78万0,096円(65,008円/月)(2019年度))× 60歳よりも前の厚生年金加入月数( 60ヶ月 or 0ヶ月 )÷ 480
  • 【計算結果】
    (1)5年間(60ヶ月)以上の場合
    →年額12円のマイナス ⇒年額1円のマイナス
    (2)一度も厚生年金に加入したことがない場合
    →年額97,500円のプラス ⇒月額8,125円のプラス

これはビックリ!
65歳まで一度も厚生年金に加入したことがない人が70歳まで5年間、厚生年金にはじめて加入するだけで、70歳からもらえる月々の年金が8,000円も増える。
しかも、計算式をみると、働いている間の給料の金額に関係なく。
ずっと自営業やフリーランスだった方が70歳まで5年間働くことは結構な効果がありますね。

次に70歳まで5年間働いた場合という想定で計算してきた結果を一つにまとめて、最終的に全部でどれだけ年金支給額が増えるかみてみました。

70歳まで5年間働いた場合の年金がどれぐらい増えるかの"最終結果発表"

これまで、70歳まで5年間働いた場合の厚生年金の報酬比例部分と経過的加算部分の増加額について計算してきましたが、この2つをあわせたものが年金の増加分ということになります。

結果をまとめたものが次の表になります。

65歳の人が70歳になるまで働いた場合の厚生年金支給額の増加額
働いている間の月々の給与 65歳になるまでの
厚生年金加入歴
年金の増加額
(厚生年金の増加額)

15万円
(パートフルタイム等)
5年間(60ヶ月) 年額49,317円のプラス
月額4,109円のプラス
15万円
(パートフルタイム等)
加入歴なし 年額146,819円のプラス
月額12,235円のプラス
25万円
(準正社員等)
5年間(60ヶ月) 年額82,203円のプラス
(月額6,850円のプラス)
25万円
(準正社員等)
加入歴なし 年額179,715円のプラス
(月額14,976円のプラス)

仮に65歳から70歳までの5年間、月々15万円ぐらいのパートで厚生年金に加入しながら働いた場合、一度も厚生年金に加入したことがない人は、70歳からもらえる月々の年金が1万円以上、増える結果となりました。

一方で過去に会社勤めなどで厚生年金に5年以上加入したことがある人の月々の年金の増加分は4,000円程度と少し抑えめな結果となりました。

抑えめだった人はもともとの年金額が一度も厚生年金に加入したことがない人よりも高いので、単純には比較はできませんが。

以上で本題は終わりですが、せっかくなので、触れなかった基礎年金部分など65歳から年金を受給するにあたってのポイントを確認して終わりにしたいと思います。

(参考)65歳から年金も受け取る場合はいくらになるのか

基礎年金の支給額

基礎年金の立ち位置は前の「年金制度の基本」のところで触れております。

2017年8月1日から年金の受け取りに必要な年金加入期間は25年(300月)から10年(120月)に変わりました。
20歳で加入したとすると最短で30歳で受給資格を満たせるということでずいぶんと楽になりました。

それでもずっと払ってこなかった人の中には10年も満たせないという人もいるでしょう。
そのような方は国民年金の任意加入制度(60歳以上70歳未満)、厚生年金保険の高齢任意加入制度(70歳以上)を利用することでまだ間にあう可能性があります。
詳細は日本年金機構のホームページで確認してみてください。

では、将来の基礎年金の支給額についてみてみましょう。
年金加入期間に応じて、支給額は変わってきます。

【基礎年金の支給額の例】

  • 年金加入期間が10年(120ヶ月)の方
    78万0,096円 × 120ヶ月/480ヶ月 = 19万5,024円(25%
  • 年金加入期間が20年(240ヶ月)の方
    78万0,096円 × 240ヶ月/480ヶ月 = 39万0,048円(50%
  • 年金加入期間が40年(480ヶ月)の方
    78万0,096円 × 480ヶ月/480ヶ月 = 78万0,096円(満額

※年金保険料の全免や半免などの免除申請を一度も行ったことがない場合の例です。

ちまたでよく言われてる年金支給額は40年(480ヶ月)まじめに、保険料を払い続けた場合のことが多いです。
実際の年金支給額は40年(480ヶ月)のうち、保険料を支払った月割り分となります。

私の場合、大学生の時、20歳になっても、何の免除手続きをしなかったので、卒業して働き始めるまで、未納期間になってしまいました。
なので、基礎年金については満額が受け取れなくなりました^^;
私は10年後ぐらいに気づいて後の祭りだったのですが、未納期間からまだ5年以内であれば、さかのぼって払うことができます。
特に学生さんは最低でも、20歳になった月に「学生納付特例制度」手続きは行っておきましょう。
私からの教訓です(笑)

65歳〜69歳までの年金(基礎年金+厚生年金)の支給額について

65歳〜69歳までの年金の支給額は次のようになっています。

【65歳〜69歳までの年金の支給額について】

  • 基礎年金は、定額が支給される。
  • 厚生年金は給料と年金の合計額が47万円を超えると一部または全部が支給停止
    【厚生年金の月々の支給停止額の計算式】
    支給停止額 = (総報酬月額相当額+年金月額−47 万円)× 1/2
  • 厚生年金の働いて増えた分の再計算は働かなくなった時に行われる。

働いている時の厚生年金の支給停止分は後から受けることはできません。
しかし、働いていても月々の年金とあわせた全収入が47万円以下なら支給停止にはならず、全額支給されます。
なかなか47万円を超えることは平均的にないので、それほど気にすることはないかなーとは思っています。

働いた分の厚生年金の割り増しは、働くのをやめた時のタイミングで行われます。
働くのをやめてから1ヵ月が過ぎると一部支給停止がなくなり、厚生年金の働いて増えた分が反映された額がもらえるようになります。

70歳になってからの年金(基礎年金+厚生年金)の支給額について

70歳になってからの年金の支給額は次のようになっています。

【70歳からの年金の支給額について】

基礎年金や厚生年金は本来の額を受け取れますが、次のような例外もあるので、確認しておきましょう。

  • 基礎年金と厚生年金は基本的に定額が支給される。
  • 70歳以上の人は働いていても保険料の負担はなし
    ただし、給料をもらっていれば、年金額は65歳〜69歳と同様に調整される場合あり。

最後に2019年10月から予定の消費税率アップに伴い、年金給付制度が拡充されたので、簡単に触れておきます。

年金生活者支援給付金制度(2019年10月1日から施行)

2019年10月から消費税が10%にあがった場合、国民年金だけだと苦しいので、消費税アップ分、年金に上乗せしましょうという法律「年金生活者支援給付金制度」が施行されます。

概要は次のとおりです。

  • 支給要件
    65歳以上の老齢基礎年金の受給者であること
    年金と給与の合計額が基礎年金満額相当(約78万円) 以下であること
  • 月額2,500円〜7,900円の範囲で年金に上乗せされる

あと、注意点としては申請が必要です。自動的にしてくれません。
対象者には事前に案内がいくといわれていますが、一度、65歳以上の方は自分が該当するのか確認してみたほうがよいでしょう。
インターネットで「年金生活者支援給付金制度」と検索すれば、上位に日本年金機構の問い合わせ電話番号ページが見つかると思います。
パソコンが使えない方は、市区町村の年金窓口で相談することをおすすめします。

70歳まで働いて、年金が再計算されていくら増えるかはそれまで、会社員だったか自営業だったかで変わる

今回の調べた結果では月々の給与が15万円ぐらいのパートで65歳から70歳になるまでの5年間、厚生年金に加入しながら働いた場合、年金支給額へのプラス効果は月額4,000〜12,000円でした。

特に65歳まで一度も厚生年金に加入したことがない人の場合は月々の年金が12,000円も増える結果となりました。
ずっと自営業やフリーランスだった方が70歳まで5年間働くことは結構な意味があるように思えます。
また働いている5年間に遅れた分、老後のプランについてしっかり計画を立てた、中には職場で同年代の友達もできて、老後が楽しみになったという声も多いです。

一方で厚生年金にある程度、10年とか加入していた方が年金を増やしたい目的だけのために65歳から5年間働くのは少し、再検討されたほうがいいかなーと思います。
時間もお金と同じぐらい重要ですしね^^

以上、65歳から70歳になるまで働こうかどうかお悩みの方にとって少しでも参考になれば幸いです。

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